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第33回船乗りたちの道しるべ

部崎? 神子元? 来島?
陸上に住む一般の人々にはいまひとつ馴染みのない、読み方すらよく分からない地名ですが、日本の沿岸には海で生きている船乗りたちにとって大昔から自分の現在位置を確認したり、進むべき方向の目印にしたり、時には悪天候による遭難から命を守るために避難したりする大切な地点が数多くあります。
このシリーズではこのように船乗りたちにとって大切な道しるべとなる場所をご紹介していきます。

Vol.3 来島海峡(くるしまかいきょう)

今回は来島海峡をご紹介いたします。
来島と書いて「くるしま」と読みます。本州と四国を結ぶしまなみ海道の南端部、愛媛県の今治市とその沖に位置する大島の間の幅5キロ弱の海峡です。
ここは鳴門海峡、関門海峡と並ぶ日本三大急流の一つで、潮流の速い時には当社のタンカーの巡航速度にも匹敵する時速10ノットに達することもあります。
「狂う潮」が訛って「くるしま」という地名になったという説もあるほどの、まさに海の難所です。
現在では一日約1,200隻の船が往来する日本有数の交通量の多い海峡で、通行の際には各船舶共に細心の注意が必要となります。

海峡には来島海峡大橋の橋桁が立っている中央の馬島(うましま)を挟んで西側に小島(おしま)東側に中渡島(なかとしま)があり、馬島と小島の間が西水道(にしすいどう)、馬島と中渡島の間が中水道(なかすいどう)と呼ばれています。

船は原則として右側通行なので南から北へ向かう際には中水道を通行します。
ところが、ここ来島海峡だけは「順中逆西(じゅんちゅうぎゃくせい)航法」(海運豆知識「第7回 来島海峡の潮流の流向によって航行する航法「順中逆西(じゅんちゅうぎゃくせい)」って何?」参照)といって潮流に乗って進む場合は短くて屈曲の少ない中水道(右側通行)、潮流に向かって進む場合は屈曲の多い西水道(左側通行)を通ることが海上交通安全法に定められています。
このような特殊な通行形態を採用している海峡は世界でも唯一ここだけで、これが来島海峡が現在でも海の難所である所以でもあります。

このため来島海峡では船舶の通行の安全を守るため来島大角鼻、津島、来島長瀬ノ鼻、大浜の4箇所の潮流信号所および中渡島灯台から通行する船舶に潮流の情報を提供すると共に、来島海峡海上交通センターではレーダーで24時間365日船舶の航行の安全を見守っています。

当社では京浜、中京、阪神等から岩国、大竹、徳山、大牟田などへの輸送が多いため当社の船舶も頻繁に来島海峡を往来しています。

船は昼夜関係なく24時間運航し続けるので、船員は基本的には交代勤務です。
当社では操船を担当する甲板部の船員は三名で、通常は一名が操船時間4時間の勤務を1日2回ずつ交代で担当して24時間の運航をしています。
しかし、来島海峡のような特殊な航路を通航する場合は、安全航行のために必ず船長が操舵室に昇橋して、もう一名の甲板部船員と二名以上で操船と見張りをしなくてはならないという規則があります。

そのため、船長は来島海峡通過の時刻が非番の時間であっても、更にはたとえ就寝中の時間であっても一旦起床して操舵室に上がり、無事に海峡を通過するまでは操船やワッチ(見張り)の仕事をしなくてはならないのです。

来島海峡は風光明媚な美しい景色とはうらはらの、船乗り泣かせの厳しい海峡です。

拡大図

写真2

写真3

来島海峡大橋(対岸が今治側)

※ 橋中央部の馬島から手前が中水道、奥側が西水道、西水道の行く手を遮るように小島が横たわっている。

写真4

来島海峡大橋(手前が今治側)

※ 橋中央の馬島から手前が西水道、奥側が中水道

写真5

激しい来島海峡の潮流

画像提供 今治市

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