明和徒然日記
第6回 カーボンニュートラル
最近、カーボンニュートラルという言葉をよく耳にする。
日本語に訳すと「炭素中立」。
異常気象を引き起こし、年々問題となっている地球温暖化に歯止めをかけるためには二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない事が一番良い。
とは言うものの、いまさら現代の便利な生活を産業革命以前の生活に戻すこともできないので、工場や交通機関など各種の経済活動で排出する温室効果ガスを極力減らして、同時にそれを吸収する植林や炭素再利用などの活動を行い、二酸化炭素量換算した温室効果ガスを差し引きゼロにするという意味で「ニュートラル(中立)」という言葉が使われている。
自動車や飛行機と同様に当社のような船舶を使用する輸送機関では、化石燃料を燃焼させてエンジンを動かして動力を得ている。
だからと言って輸送手段を昔のように馬車や千石船に戻す訳には行かない。
そのため技術者たちは知恵を絞って様々なアイディアを実現化しつつある。
自動車では電気自動車や水素自動車が既に実用化されており、航空機では廃油等から生成されるSAF(Sustainable Air Fuel)を使用した運航実験を開始している。
一方、船舶ではアンモニア燃料、水素燃料などの新たな燃料の研究も進んでおり、電気推進船も一部では実用化されている。
またFRP製の硬翼帆を装着して、風力とエンジンを併用して推進力を得る現代の帆船とも言えるハイブリッド船も2022年秋に既に竣工している。
明和海運の運航している千トン積みクラスの内航ケミカルタンカーではできる事は限られているが、それでも水の抵抗を減らす船首のバルバスバウ構造や省エネ船底塗装の採用、推進力のロスを減少させる大口径プロペラの採用、少しでも燃料消費を少なくする運航速度の推奨など、既に実施している対策もある。
個人的には船の甲板を総2階建てにして屋根一面に太陽光パネルや風車を設置して発電しながら走る電気推進船や、屋根に人工土壌を敷き詰めて木々を植林し、排出した二酸化炭素を吸収させながら航行する、まさにカーボンニュートラルな船にすれば良いのではなどと勝手に考えているが、将来的にはこのような突拍子もないアイディアが実現する日が来るかもしれない。
ところで、私自身はというと自宅の電力をオール太陽光発電にするのはちょっとハードルが高いので、せめて庭の防犯灯とガレージの照明だけは小さな太陽光発電パネルで発電した照明で賄うようにしている。
ほんのささやかなカーボンニュートラルである。
写真:自宅ベランダの手摺に設置した太陽光発電パネル
(筆者:営業部 佐藤兼好)