明和徒然日記
第4回 君たちの肩に
4月、入学式の季節。
今年もまた黄色い帽子のピカピカの一年生がやって来る。
明和海運のオフィスの所在地は東京都港区。
都心ではあるが近くには小学校もあり、営業などで外出する際に下校中の子供たちを見かけることがある。
彼らは元気、とにかく元気だ。
子供というものはエネルギーに満ち溢れて、それを体中から発散させている。
私のような大人にはそれがとてもまぶしく感じる。
「この子たちには輝かしい未来と無限の可能性があるのだ。」などと本気で思えてしまう。
かつて自分にも小学生だった時代があった。
朝礼では校長先生が「友達とよく遊び、先生の言うことをよく聞いて、しっかり勉強しましょう。これからは君たちの時代です。これから先の日本は君たちの肩にかかっているのです。」というような話をよくされていた。
当時はまだ子供だったので「それは大人のえらい人たちの仕事でしょ。僕たちみたいな子供に日本の未来なんか無理でしょ。それより早く朝礼終わらないかな?」くらいにしか思っていなかった。
しかし自分が当時の校長先生と同じような年齢になった今では、校長先生の言葉の意味がよく理解できる。
本当に子供達には無限の可能性があるのだ。
その気になれば大企業の社長でも、高名な学者でも、偉大な芸術家でも、もしかすると総理大臣にだってなれるかも知れない。
大人になってから、特に半世紀以上も生きてきた自分にはもう遅いのだ。
あの時の校長先生は戦前生まれで、ご自身が戦中戦後の大変な時代を経験して来たからこそ、次の世代には明るい未来を築いて欲しいと願って子供たちに期待を寄せていたのだろう。
今は時代が違う。
それでも元気な子供達を見ると無意識に未来を託す大きな期待をしてしまう。
「自分がこの世から去った後に社会の主役になっているのはこの子たちなんだ。」と素直に思える年齢になったからだろうか。
「君たちの肩にわが社の命運がかかっているのだ。」
校長先生ではないけれど、明和海運の社長もそんなことを言うかもしれない。
日本の未来と比べたらスケールはかなり小さい。
それでも私は思ってしまうだろう。
「すみません、頼りない肩で・・・。」
写真:明和海運㈱ 代表取締役 中田 篤
(筆者:営業部 佐藤兼好)